日本のワクチン医療行政は言っていることとやっていることが違う(日本のワクチン医療行政の矛盾の所在について)
2026-01-17


A:COVID-19ワクチンが筋肉注射となっているのは、皮下と比較して筋肉内に血流が豊富で免疫細胞も多く分布しているため、注射されたワクチン成分を免疫細胞が捉えてSARS-CoV-2特異タンパクが生成されやすいからです1)。ワクチンの筋肉注射は、上腕の三角筋に接種することを推奨されていますが、何らかの理由で三角筋に接種が困難な場合は、下腿の外側広筋(大腿部の外側の筋肉)に注射することが勧められています2)。
1)Zeng C, et al. Formulation and Delivery Technologies for mRNA Vaccines. Curr Top Microbiol Immunol 2020. doi: 10.1007/82_2020_217. PMID: 32483657
2) Vaccine administration: needle gauge and length (Centers for Disease Control and Prevention)
[URL]
(回答日:2021/3/16)。」
 というのがある(資料M)。
 根拠の1)を調べてみるとこれは総説で、あらゆる投与経路についての概説であり、皮下注を一方的に否定しているものではなく効果も副反応も投与経路ごとの特徴がありそうだと述べているだけとしか自分には捉えられない。2)はCDCの米国向けといって良いようなもので、彼らは肥満で皮下脂肪が厚いので筋肉まで達するように注射針の長さを考慮しなさいと実務指導書のようなものとしか自分には捉えられない。日本ではむしろ骨に当たったり滑液のう胞に入ったりするのを気を付けましょうとした方が適切なもので視点が抑々違うのである。

 従来の蛋白抗原ワクチンと違い、新型コロナウイルスワクチンはmRNAを抗原とする新規のワクチンであり未知の点が多い故に様々な憶測の中で社会導入された。
 海外由来の不活化ワクチンは従来より筋肉注射が普通であり、この新型コロナワクチンも海外産なのでその添付文書が筋注限定であるのは仕方ないとしても、問題は日本国内の日本医師会をはじめ医療専門家たちがこぞって皮下注と筋注とは天と地ほどに違うとの大合唱には大変驚いた。これは間違って皮下注になって酷い副反応が出た場合には医師の責任問題になりかねない。医学的には「筋注できなければ皮下注でも良いではないか」とのsilent majorityの考え方で良いであろうとのそれまでの捉え方では医療行政上からは犯罪に結びつけられかねないと、思うようになった。新型コロナワクチン導入の初期の頃は副反応の程度について不祥な点が多々あったからである。

なぜ大勢を占める上記意見が多いのかについては、主に欧米のワクチンが筋注になっているという単純な理由のためだったとしか自分には捉えられない(但し欧米でも生ワクチンは皮下注)。そして一部の感染症専門医の大きな声に大勢が流されていったためとも思っている。
皮下注/筋注のどちらがより効果的であるかはワクチン抗原の種類によっても多少異なるとの前提は勿論あるとしても大同小異で大ざっぱにいって従来の蛋白抗原の場合の免疫効果は「皮内注射>皮下注射≒筋肉注射」であると今でも思っている。これは50年前に既に日本アレルギー学会等で討論になって決着がついていると認識していたからである(但しmRNAワクチンは新規のため不明な点が多い)。そしてAdjuvant含有にすれば免疫効果はあがるが副反応も強くなるということも当時から常識とされていて、これは今でも変わらない。
なぜ上記意見を気に懸けるかについては、法的責任問題が出た時にはワクチン添付文書記載に従わない場合は医学的に正当であっても添付文書に反したということで医療行政上冤罪に繋がりかねないからである。
(これはワクチン添付文書の用法が「皮下注ないし筋注」と記載されれば直ちに問題解決するのであるが、現在の日本の医療行政の流れが逆に筋注限定方向に流れてきているのが残念なのである。)

医療は社会の常識から外れてはならないという原則があるが、その社会の常識がずれていた場合は無視できない。インターネットのAIは間違っていることも多いが社会の世相認識や常識を反映する目安にはなり得る。

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